富士山登山を控え、どうしても3000m級の山を歩いてみたい、
そして5時間以上の連続した歩行も試してみたいという考えも念頭にあった。
水曜日に地図を見て「白馬」の大雪渓を登るか、「立山」を富山側から登るか
いずれかにしようと熟考した結果「立山」に決めた。
車でのアプローチの利便さ、3000m級を縦走するコースを考えたら
魚沼から立山は意外と近くて3時間で立山ケーブルの駅に立つことができた。
3:30、深夜割引が有効なうちにゲートを通過して、ひたすらに北陸道を南下、
立山ICではややガスが深いものの北アルプスの麓に降り立ったという
身が引き締まる思いで身震いし、ケーブル駅に急ぐ。
ケーブル駅近くの無料駐車場はほぼ満車状態だが、何とか空きを見つけたし
尚且つ運よく臨時の便に乗ることができたので室堂には予定より30分前に到着。
8:20団体客が出発する前にと「一ノ越」へ一歩を踏み出すが
短パン、半袖Tシャツは小生くらいで後は防寒具を羽織った人や長袖、長パンの人が
ほとんどである。(もっとも気温が20度以下で風が強かったから・・・)
もともと持参した長袖は防寒用のフリースともしもの着替えシャツだけなので
行動中は半袖だけで十分であると考えての服装であり、
ワコールのCWXはそれなりに暖かいのでその上に短パンで夏山の歩行には適宜かと思った。
室堂からアイドリングを兼ねた40分は順調で、さほど汗もかかずに「一ノ越」に到着、
カメラを封印してザックに入れておいたがここで出し、タスキに掛けて雄山へ向かう。
かなりの急斜面で足元も岩と小石交じりのガレ場歩きであるが16度の気温と
室堂から吹き上げてくる風が快くてグイグイと体を高みへ持ち上げてゆく。
室堂平が約2500m、「一ノ越」が2706m、雄山が2991mであるから2時間弱で
400mの高さに達するわけで、不安だった心肺機能には異常はなく、予定よりもやや早く
10:00に「雄山」に到着したのだが雄山神社はさらに11mほど高い場所に祭られていて
さかんに祝詞を読む声が聞こえるところを見ると信仰に篤い人達が多いということだろう。
小休止でザックを下ろして水などを含んでからいよいよ縦走路へと突入。

一ノ越しから浄土山
大汝山が今回の縦走の最高点で3015mである、やがて富士ノ折立を超えるころには
ガスが晴れてきて360度のパノラマ風景を楽しみながら歩くことが出来た。
真砂岳、別山と続く縦走路の遥かかなたに「剣岳」の穂先が見え隠れしてしてくる。
「富士ノ折立」から「内蔵助谷」源頭のコルまでは一気に150mの下降、
それでも左手に「室堂平」の残雪の残る風景や右手に広がる黒部渓谷の奥に連なる山々が
目を和ませてくれるので気分よく歩いた。
コル手前の見晴らしの良い場所で大休止を取ることにして、
昼食用にと持参したイナリ寿司を2ケ、海苔巻を2ケを麦茶で流し込んだ。
運転しながら食べたおにぎり1ケと高原バスで食べたブドウパン1枚が朝食だから
多くの食料を用意したわりに食欲が出ないのは不思議だ。
疲労感を感じないのは出発直前に飲んだ「アミノ・バイタル」が良かったのかもしれないし
それが空腹感をマヒさせる事にも役立ったのか、それとも最近は胃袋が小さくなったのかな?

真砂岳から富士ノ折立方面を振り返る
内蔵助谷コルからは真砂岳を目指してまずは登り返えすのだが、
心配したほどの距離ではなくむしろ真砂岳からさらに下降して別山への登りが長いのだが
不思議と落ち着いて登れたのはほとんど人がいないこともあろう。
前後に他の人がいるとペースが乱れたりするが、人が居なければ自分ノペースで
悠々と歩いて、花などを愛でたりすることができるから疲労感も出てこないのだろう。

縦走路から室堂平、右手は大日岳

縦走路から室堂平(地獄谷)
真砂岳の山頂からやや外れたところに見える「内蔵助小屋」は縦走路から外れ、
雪渓にほど近く、黒部渓谷に面したロケーションにあることから
恐らく山好きな人たちには好みの小屋であろう。
また来ることがあったらぜひ泊まってみたい小屋でもある。
最後の大きな登りになるであろう「別山」への急斜面も淡々と歩いて
「剣岳」がガスから顔を出した雄大な姿をみたときは思わずタメ息が出た。
三ノ窓、小窓、源次郎尾根・・・・
20数年前に扇沢から入山し、剣沢にテントを張った後に偵察がてら剣岳頂上往復を企て
カニの横ばいを通過した時点で湧き上がったような風雪によって撤退、
避難小屋でビバークまで考えたが防寒装備が無いためにベーステントまで
積雪でマークが確認できないまま彷徨しつつ強引に下った。
翌日は40cmの積雪にテントが埋まり「岩登り」どころではなく泣く泣く
テント撤収、剣御前小屋まで登り返したら晴れてきたのにはあきれた。
10月10日の安定していたはずの秋山だった・・・・
今回の縦走路の最後のチェックポイントである剣御前小屋が見えているし
その右下には雪渓を挟んで剣沢小屋の姿も確認できた。
あとほんの少しで3000m級の縦走路は終わるわけで
時間も余裕があるし、体力にもまだ余力が残っている。
若いときならば夏山の行動時間は8,9時間でも平気であろうが
齢60を過ぎた爺さんは無理をしてはいけない。
早め、早めに行動を起こして別山から剣御前小屋をめざした。
剣御前からは雷鳥沢を一気に下るのだが、膝の調子も良くて
花などをカメラに収めながら快調に歩いているのだが
これから登ってくる人たちはからは照りつける陽射しによる
気温の上昇に閉口している様子が伺われる。
午後からの登りは大変だなと思う。
雷鳥沢の露営場付近は綺麗に整地され10張ほどのテントが張ってあった。
すぐ脇の雪渓ではスキーに興じる姿もみられ、渓谷には雪解け水が
涼しげな音をたてて流れていた。

雷鳥沢から剣御前方面
雷鳥沢ヒュッテにて地獄谷から引いた「掛け流し・天然温泉」を楽しみながら
ひとりぼっちの風呂をのんびりと山々の姿を見ながら過ごした。
着替えたあとにここからバスセンターまではまだ1時間ほどの登りが待っている。
それでも汗はかかずに快い風に体をゆだねて歩いた。
室堂清水を空いたボトルに詰め替えする間にバスの発車案内があり
そそくさと車内の人となった。
今夜は山中で泊まることも考えたが富山市内のホテルに泊まり
美味いビールを飲む誘惑には勝てずに下山の途についた。
下界が近づくと腕時計の温度計がどんどん上昇してゆく・・・・