奇妙ななめぐり合わせで山のボッカ役(荷物運び)をした。
最初は「平ケ岳・登山道」の刈払いを「刈払機」でやってほしい」との
依頼を受けたが、機械を使った経験もないうえに、それもあの平ケ岳で
そんな作業をできるわけがないので断った。
その話があってから10日ほど後に山仲間が集まる喫茶店で
その作業を自治体から請け負った本人と偶然会った(もちろんお互いは初対面)
四方山話のなかで小生の話が出て「この私が本人です」ということになった。
何時の間にか話の流れで刈払い作業のサポート役としての
「ボッカ役」ならば協力できますという事になり当日を迎えた。
未明2:30に目覚まし時計で起床、前の2回とも「平ケ岳」登山の時はそうだったが
アプローチ時間と日帰り登山の関係でどうしても「中ノ岐」を4:00頃出発になる為に
そんな時間に起きなければいけない。
寝不足と緊張で気分がすぐれないが待ちち合わせ場所から
「中ノ岐」までは登山道・刈払いのプロであり山岳救助隊員でもあった
W氏の車に同乗させていただいて幾分安心した。
「中ノ岐」出合到着、4:00に「鷹ノ巣」から来たワゴン車に乗り込んで
1時間の悪路を登山口に向かう。
登山口で荷物の振分けや朝食を摂っている頃に
「平ケ岳」登山の最短距離である当コースを利用する数台のマイクロ車やワゴン車が
それぞれの宿から到着して騒がしくなってきた。
20数年ぶりに使う「ジュラルミン製の背負子」は数日前に整備しなおしたが
実際に重い荷物を背負った事が無いのでやや不安であった。
(一応18L入りの灯油タンクを取り付けて事前試験はしたのだが・・・)
刈払機の操作担当2名、サポート要員2名、リーダー1名の5名は
整然と出発するわけだが、一般の登山客の高揚感などとは別の空間にいるのであった。
さてこのコースは急登の連続で最後まで平坦な歩行はない、
途中で一般の登山客に道を譲りながらゆっくりと登る。
まあ、荷物が重いだけで、この時期としては気温も低くバテることもなく
なんとか歩み続けて「玉子石」との分岐に到着。
途中で降り出した小雨はほてった体を冷やしてくれて気持ちがいいのだが
時間が経つと今度は寒くなってくる、この季節なんと贅沢な悩み・・・
休憩後にリーダーが当日の作業の段取りを決めて、
本日は「鷹の巣」からの登山道を下りながら刈払うことになった
ここで再度、荷物の振分けを行ってまずは「姫池」まで移動、
新しくなった木道や半分腐りかけてキノコが生えている木道を
慎重に歩むのだが、荷物が重いとバランスが難しく何度も
濡れた木道から滑り落ちそうになった。
「姫池」で小休止した後にいよいよ作業が開始される。
2台の刈払機が軽快なエンジン音をたてて
登山道を挟んだ左右の草木を刈り取ってゆくのが小気味よい。
その後ろにはもう1名のサポート要員が刈り払った小枝などを
脇にどけたり工事後の写真を撮ったりしているのだが
小生はもくもくと「ボッカ」に徹して歩くのみ、
それにしても重い荷物は登りよりも下りのほうが疲れる
肩と腰には20K弱の重みがしっかりとかかっているわけだ。
途中でリーダーは車回送の為に「中ノ岐」に引き返していった。
山をぐるりと回って「鷹の巣」登山口でわれ等を迎える為である。
11:00の小休止の時間にやや早めの昼食を摂ったが
案外と食欲は充分にあり水分補給も満ち足りているようで安心した。
なにしろガスが濃いので風景も見えず花を愛でる余裕も無いわけで
歩くことに集中しなければいけなかった事が疲労感を吹き飛ばしたのだろう・・・。
以降は借りた杖でバランスをとりながら慎重に刈払チームの跡を辿った。
13:30「ピー」と笛が鳴ってサブリーダーが作業終了を指示、
1台の刈払機と補給用燃料を樹の下にデポして下山の準備にかかる。
なにしろその場所からたっぷりと3時間はかかる下山路なのだ。
ここで小生の荷物から補給燃料や刈払要員のザックが下ろされて
身軽になったのだが、なにしろそれまでの荷重に膝、腰、肩がボロボロ。
なんとか皆に遅れないようにと足を進めるのだが
長い「ダイクラ尾根」で疲れ果て、急峻な「鷹の巣尾根」では精根尽きた。
林道で待つ軽トラの姿が見えたときにはホッとする。
リーダーが経営する宿で心尽くしの「手打ち蕎麦」をごちそうになったあとは
暮れなずむ只見湖を見ながら「中ノ岐」まで送ってもらい
そこからは疲れすら見せないW氏の運転する車のなかにて
快い疲れを感じながら自宅で待つ「熱い湯」と「冷えた麦酒」が
脳裏に浮かんで頬がゆるんだ。