鷹ノ巣から平ケ岳へ
平ケ岳の「鷹ノ巣コース」日帰り登山に誘われた時はひとしきり悩んだ。
どう計算しても往復10時間ほどが必要なコースであるし
体力の衰えた自身がその苦難に持ち堪えられるかが疑問だったからである。
熟考5分、他のメンバーの気力に押される形で参加を決めてしまった。
深夜3:00に集合して、銀山平経由「鷹ノ巣」へと向かう、
奥只見湖の湖畔を回り込む国道352は銀山平から県境である「鷹ノ巣」
を経由して「尾瀬」の玄関口である福島県・桧枝岐へと繋がっている。
途中、野兎に2回ほど「ヨタカ」と呼ばれる夜行性の鳥に
何度となく車の前を横切られながら夜明けを迎えた登山口に着いた。
なんとも中途半端な昨夜の睡眠と体が覚醒していな状態で歩くのわけだから
かなりのペースダウンを覚悟してトップを希望する。
後ろから追われる形でないと気力が維持できそうにないわけで、
ダイクラの痩せ尾根でびっしょりとシャツを濡らすほどの汗を搾り出した。
起きぬけにバナナ1本、珈琲1杯、ヨーグルト1杯のみで来たから
休憩の度に菓子パンを少しづつ流し込んでエネルギー補給をする。
案内書ではダイクラの登りが本コースの難所と書いて有ったが
朝の涼しい時間帯であったし、つい先日の浅草岳で体が慣れていたのか
生あくびをしながらひたすらに歩いていたらあっけなくダイクラを通過して
長い樹林帯の横断に突入した。
しかし、途中で垣間見た「平ケ岳」の姿はあまりにもうんざりとする遠い。
それからは幾度かの登下降を繰り返して白沢清水を過ぎると
樹林帯が終わった後の急登である「池ノ岳」を残すのみとなった。
森林限界を超えて稜線を歩き始めると盛りを終えた「シャクナゲ」の
群落が印象的だったし、おきまりの雪渓上部の雪解け後に咲いた「シタネアオイ」
「コイワカガミ」などが姿を見せ始めていた。
そんな花に見とれながらガレた滑りやすい岩稜帯を一歩づつ進んでいたら
ようやくピークに到着して、すぐに木道歩きが始まる。
2、3分で「姫ノ池」に着いたが先行者(中ノ叉コースからの)は見受けられずに
池の辺にあるテラスにザックをほおりだして写真撮影が始まった。
池と花と残雪を湛えた「平ケ岳」山頂付近にはたおやかな草原が広がっている
「姫ノ池」の辺には「チングルマ」「イワイチョウ」が咲き乱れ、
時折「ハクサンコザクラ」の姿も確認できる。
まだ雪が解けたばかりの様子で初夏の花ばかりだ。
昼食は「玉子石」で摂ることにして1kほどの木道をたどり
雪原やお花畑を楽しみながら「玉子石」に向かう。
途中、「中ノ叉コース」からの木道を合流して池塘をバックにした
奇岩「玉子石」に到着、それぞれがくつろいで昼食をとった。
11:00には下山を開始して途中の雪渓下で水を補給、
ややガスに巻かれ始めた山頂に別れを告げた。
無風で薄日の差す尾根道は暑さが身にしみて汗が流れおちる。
樹林帯では登る時教えられた「ユキササ」のほどよい茎を採取したり
雪解けが早かった根曲がり竹の林では出始めたばかりの「タケノコ」
を採ったりして単調な横歩きを紛らわせたが
「ダイクラ」からの痩せ尾根下りは目標物である国道の一部が常に
見えていたりするし、長い歩行時間で酷使した足腰が重い。
「こんなところを登ったけ」などとブツブツ云いながら
長い下降を終えた時はおもわず歓声があがったほどの感激。
振り返ると「ダイクラ」の頭はかなりの高みにあり、
「平ケ岳」はそこからさらに遠いわけで
長い間「天上の楽園」として健脚者のみを受け入れてきた
湿原とお花畑が広がる様を思い浮かべて頭を垂れた。
玉子石と池塘
姫ノ池と平ケ岳山頂
咲き始めたハクサンコザクラ