1年のうち今の時期しか登る事が出来ない山、「日向倉山」に行った。
風邪気味の前日に「山の達人」から電話で誘われ、「行く!」と即答。
不順な天候が続く時期、晴れ予想の休日チャンスを逃すわけにいかない。
ピッケル、アイゼン、カンジキ、ストック、皮の本格登山靴、
なんか久しぶりに残雪期用重装備のザックになった。
7:10に自宅から濃霧のなか、歩いて待ち合わせ場所に向かう。
昨夜からの曇天が続いているしこの霧ではでアイゼンよりもスノーシューが
いいだろうと「山の達人」の自宅で予備のスノーシューを借りて
昨年「太郎助山」に一緒したM氏を加えた3人で出発する。
シルバーラインは「奥只見丸山スキー場」へ向かうボーダーの車で
混雑しているが銀山平出口に出たのは我々の車だけであった。
トンネルを出た道路脇に車を止め、その場所からすぐに山歩きが始まる。
100mほど川沿いの平坦部を歩いてから尾根に取り付くのである。
出発前に見かけたスキーを持った数人のグループは川の下流に向かったらしく
別の場所に向かったようだ(直登ルート)。
ノーマルルートにはすでに先行するグループ4人が急斜面にへばりついている。
確かに気温は低いが雪は柔らかい、アイゼンは不要である。
借りたスノーシューは爪が多めに付いていて快適だ。
30度ほどの急斜面も直登可能なことには驚いてしまう。
(踵部分が角度調整できる機能が付いている)
自分の持っている物は新雪や緩斜面には有効だけど、
この急斜面では多分ズリ落ちてしまうな。
同行者2人はグイグイと飛ばして行くが、まだ風邪が治りきっていない小生は
鼻水を垂らしながら足取りも重い。
それでも足を止めるほどではないので小刻みに足を出して
ひたすらに急斜面をのぼり続ける。
後方には「越後駒ケ岳」「中の岳」「荒沢岳」の威容が広がっている、
風は強いものの天候は良いし汗もあまりかかずに進んだ。
鼻水が出続けるということはかなりの体液を失っていることなので
途中で一人だけ小休止して水とリンゴを一切れ補給する。
平坦な尾根筋まではまだ半分の距離、幾分楽になったものの
いつもの調子は戻ってこないまま急斜面は終わった。
あとは頂上直下まで幾つかのピークを越えるのみである。
標高1500mに未たない山頂はたおやかに左右に広がっている。
左側にはブナの原生林が連なり、その向こうには「未丈が岳」が
ひときわ大きな山容が誇っているのが見えている。
右手は「北ノ又川」が流れ込む「奥只見湖」の風景が俯瞰され、
はるか前方には尾瀬の「燧ケ岳」の双耳峰が大きく見える。
急斜面を終えたせいか、やや呼吸も楽になったが
なにしろ足が前に出ないし風が強くて体温損失が甚だしい。
この時期の残雪歩きは暖かくて半袖が普通なのだが、
体調不良の為、体力保持に努めてセーターを着込んでいる。
先行したM氏がスコップで「屋根無イグルー」を作って待っていてくれた。
風の当たらぬ場所を選んでテーブルと椅子まである立派なベースキャンプだ。
ここから頂上までは2、30分とのことであるが小生はここで終了。
体力の消耗は激しく、なによりも気力が途切れてしまった。
ウィンドブレイカーを着込み湯を沸かして暖を取っている内に
だいぶ落ち着いたが、後を追って頂上を目指す気力が沸いてこない。
早めに食事を終えて彼らが帰ってくるのを待ち、写真を撮ったりして過ごす。
例年、ここに来ている2人は慣れたもので、
下山時のスノーシューでのグリセードもすごいスピードで飛ばす。
あれだけ苦労して登ってきた急斜面を一気に駆け下りというか滑り降りて行く。
今シーズン一度もスキーを履いていない小生はややへっぴり腰、
何度も尻から転んでしまう、いかに前傾していないかの証拠である。
眼前に「荒沢岳」の岩肌を見ながら銀山平に向かって
滑り降りて行くのはなかなか爽快感はあるが、
すっかり平衡感覚がなくなっている、
いつもの自分の体でないような感じでストックに頼ってしまう。
何度も尻から転びながらもなんとか無事に平坦な場所に辿りついた。
川原に出たときにはもう疲労困憊であったが、なぜか鼻水は止まっていた。
8:00過ぎに登り始めて13:00には下山であるから
まあ日帰りの残雪登山としては納得の時間帯である。
風景を楽しんだり雪の感触を味わったりすることが充分に出来なかったものの
初めての「日向倉山」訪問としてはこんなもんか、
次回は体調を整えて今度は頂上まで足を運んでみたいと思っている。

この斜面を左側から登ってきた
何箇所か大きな雪庇ができている

稜線から仰いだ越後駒ケ岳の姿